タイ人にまったく売れないウォシュレット -実践編-

なんとかウォシュレットを知らないタイ人にウォシュレットの良さを伝えて、あわよくば普及させてしまおうと画策していた頃の話。

私の周りのタイ人からは散々

「そんなの売れない！」
「ハンドシャワーで十分なのにそんなの買う人いないよ」

と言われていたのですが、

「そんなものはウォシュレットの良さを知らないからだ！」

と信じて早速タイ人にウォシュレットの売り込み計画を立てます。

地下鉄ＭＲＴのラマ９世駅のすぐ上にフォーチュンタウンと呼ばれる巨大ショッピングモールがあります。
タイ人にウォシュレット普及させる会会長としての使命に燃えた私は、ここにスペースを借りて出張販売することにしました。

と言ってもモール内にあるいわゆる長期契約のお店ではありません。
よくロータスなんかで通路の真ん中に露店の延長みたいなお店を広げて雑多な商品を売っているスペースがありますが、そこのブースを短期でスペース借りしたのです。

↑写真はブースのイメージ。

さて、朝から売り子のタイ人を張り付かせて準備万端です。
午後から私も様子を見に行きました。

「いくつ売れた？」
「０個売れた」
「・・・。」

次の日です。

「いくつ売れた？」
「０個売れた」
「・・・。」

ひょっとして売り子がサボってるんじゃないかと思って私もしばらく座って様子をみてたんですが、そもそもウォシュレットを知らないタイ人が放っておいて買ってくれるはずもありません。

興味深そうに眺めつつ通りかかるタイ人は多いのですが、

（なにやってるんだこいつら？）

といった目で不思議そうに通り過ぎています。


「これではだめだ！何も知らないタイ人にまず説明せねば！そうだ実演して見せればいい。便器はある。水は使える！？」
「ないよそんなの。」
「・・・」

ブースに電気は貸してくれるのですが、水は供給源がないのでした。

こうして実践する術も無く、若者は眺めて通り過ぎるだけ、話しかけてくれるのはおじちゃん、おばちゃんが多いのですが、ふ～ん、といった感じで購入には至らず。

結局売れたのは、カナダからタイに旅行にやってきた夫婦が買ってくれた１台だけなのでした。